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痛みは壊れたサインではない。脳が鳴らす“サイレン”の正体
腰痛や膝痛で病院に行くと、よく「ヘルニアがありますね」「関節に変形があります」と言われます。
でも実際には、画像に異常があっても全く痛みがない人がたくさんいるのをご存知ですか?
逆に、画像では「異常なし」と言われても強い痛みに悩む人もいます。
痛みは脳がつくり出す体験
体から送られる危険信号(侵害受容入力)は、ただの情報にすぎません。
その情報を「痛い」と感じるかどうかは、脳が「危険だ!」と判断するかどうか。
つまり痛みは “脳による解釈” なのです。
痛みが長引く理由:脳の過敏化
急性期を過ぎても痛みが続くと、脳や神経が過敏になります。これを中枢性感作と呼びます。
この状態では、少し体を動かすだけでも「危ない!」と脳がサイレンを鳴らし続けてしまいます。
有名な例が「幻肢痛」。切断した手足が存在しないのに、強烈な痛みを感じるのです。
まさに「痛みは脳がつくる」という証拠です。
痛みを減らすカギは「脳の再教育」
ではどうすればサイレンを静められるのでしょうか?
最新のリハビリや運動療法の答えはシンプルです。
「安全に動ける体験を積み重ねること」
具体的には:
- 痛みの出ない範囲から少しずつ動かす(段階的暴露)
- 動作を「時間や回数」で区切って成功体験を積む(graded activity)
- 呼吸やリラックスを組み合わせ、体を安心モードに切り替える
こうして脳に「この動きは大丈夫」と再教育することで、痛みは少しずつ弱まっていきます。
まとめ
痛みは単なるケガや構造異常ではなく、脳が過敏に「危険サイレン」を鳴らしている状態。
そのサイレンを止めるには、動ける範囲で「安全に動けた」という経験を積み上げていくことが大切です。
運動、呼吸、安心感。これらを組み合わせていけば、脳は再び「大丈夫」と学習し、痛みは少しずつ手放されていきます。
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